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ウクライナ情勢について(続編3)

今回はウクライナ情勢のお話(続編)の3回目です。


今回のウクライナ紛争の本質的問題は、前回お話した米国のネオコンとリベラルホーク勢力にあります。

新保守主義呼ばれるネオコン(Neoconservatism)は、自由主義や民主主義を重視してアメリカの国益や実益よりも思想と理想を優先し、武力介入も辞さない超党派政治派閥です。

1960年代、米国の平和主義的な外交政策やカウンターカルチャー、特にベトナム反戦運動の高まりに嫌気が差した中から生まれました。

このネオコンと重なりあう政治思想がリベラルホークです。

ネオコンは保守主義だった共和党から民主党へ鞍替えした経緯から(だからネオ)両党に跨って暗躍しますが、リベラルホークは民主党のタカ派外交政策、介入主義者で、代表的な人物はクリントン夫妻です。

その名の通り「民主党タカ派」=リベラルホークは、イラク、アフガン、シリアで軍事的な作戦を起こしては失敗し、中東および東欧の「カラー革命」に関しても上手くいっていないことから深刻な崩壊に瀕していました。

90年代のビル・クリントン政権では、人道介入主義リベラルホークと言われるマデレーン・オルブライト国務長官がユーゴ空爆やコソボ紛争に関与し、続くネオコンに支配されたジョージ・H・W・ブッシュ政権ではドナルド・ラムズフェルド、ディック・チェイニーやコリン・パウエルらが湾岸戦争を行い、このネオコンとリベラルホークが何十年にも渡って他国へ人道主義を掲げて介入しました。

目的は世界各地の民主化という名のアメリカ化(Americanization)で、リベラルホークもネオコンも軍産複合体からの巨大な資金援助によって支えられています。


オバマ政権ではヒラリー・クリントン国務長官の元、代表的ネオコン論客ロバート・ケーガンの妻であるビクトリア・ヌーランドやアントニー・ブリンケンらが要職に就き、イラク戦争とアフガニスタン戦争の継続、リビア戦争、シリア内戦、イエメン内戦、そしてウクライナの政変に大きく関与してきました。

しかし、2016年のアメリカ大統領選によって誕生したトランプ政権によってネオコンとリベラルホークは一層されます。

トランプ大統領の政策は、膨大に膨らんだ戦費を止めるため世界各国に駐留する米軍の撤退を主張し、その結果、米国が暗躍する紛争は世界中で少なくなりました。


その後は、2020年の大統領選によって政権がバイデン政権に変わるとネオコンとリベラルホークも復権。

2014年のウクライナ政権を転覆させて国を二つに割ったビクトリア・ヌーランドやアントニー・ブリンケン、サマンサ・パワーらが要職についた他、国防長官には元アメリカ中央軍司令官で巨大軍需企業のレイセオン・テクノロジーズ取締役のロイド・オースティンが就任しています。


このネオコンとリベラルホークの長年の敵がロシアなのです。


ネオコンの源流はトロツキイストで、ソ連崩壊後もスターリンを称揚するロシアに反発を抱く東欧系ユダヤ人をルーツに持つ人たちです。

また、リベラルホークは長年冷戦時代にソ連と戦ってきた因縁を今も抱え続けています。

今週、米国はロシアが侵攻しているウクライナへの武器支援を強化するため最大2億ドルの予算支出を承認したと発表しました。

これで過去1年間で米国による対ウクライナへの安全保障支援の総額は12億ドルに達し、今後もまだまだ増えると思われます。


ネオコンとリベラルホーク、そして巨大軍需産業。

彼らが米国政権中枢にいる間は、ウクライナに限らず世界中で緊張や紛争が途絶えることはないのです。


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