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止まらぬ円安と金融市場のカラクリ(1)

今回は止まらない円安や資源高騰による物価上昇など、ウクライナ問題から顕著になってきた為替相場や現在の金融市場のカラクリについてお話ししたいと思います。


まず最初に昨今のガソリンや小麦などの食材の物価上昇は市場価格の高騰によるもので、例えばガソリンでしたら米国のシカゴにあるマーカンタイル取引所で取引された価格(WTI価格と言います)は世界の石油の価格の重要な指標となっています。

また、小麦などの現物も世界の市場で取引されていますが、いわゆる輸入小麦は丸紅などの商社が買い付けたものを農林水産省が買い取り、そこから製粉会社が買い取るという仕組みになっているため市場の価格高騰すると玉突きになって商品価格の値上げが行われることになります。

現在、小麦の値段上昇の原因は米国や欧州諸国の物価上昇による市場価格の上昇と、世界有数の小麦の輸出大国であったロシアやウクライナに問題が発生したことで供給量の減少が影響しています。

そこに円安(為替相場のドル円が上がると言うことはドルに対して円が安くなることを意味します)が拍車となり大変なことになっています。

この円安の原因もいくつかありますが、まずは米国の金融緩和策の引き締め(テーパリング)です。

ご存知のようにコロナで世界経済は落ち込んでいるかのように見えますが、実は米国は2020年5月を境に物価の上昇が止まらずCPI(消費者物価指数)は現在8.5%の驚異的な上昇率です。

米国の日経平均と言われるS&P500も同時期から上げに上げ、昨年は高値更新を70回近くしながら右肩上がりで上がってきました。

これら政策金利の引き下げなどの金融緩和によって上がってきた物価による過度なインフレ(インフレ率は前年比2%が理想とされています)を抑制するために、米国の中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)は、これまで緩和してきた政策金利の引き上げを行うと昨年から示唆して今年は何回かに分けて行います。

これは予告なく急激に行うと為替市場に急騰や暴落が起こり、世界経済に多大な影響を及ぼすことから世界の市場関係者に織り込み済みとして伝わるよう時間をかけてアナウンスしながら何回かに分けて行います(それでも金利政策発表時には為替がそれなりに動きますが)

ですので、現在ドル円が上昇する原因の一つにこの日米の金利政策の乖離があります。


金利を今年一年掛けて高い所に持って行こうとしているFRBと、金利ゼロを維持するという日本銀行。

この金利は政策金利といって中央銀行が市中の銀行(三菱UFJや三井住友などの一般銀行)にお金を貸し出す際の金利で、これは中央銀行(日本は日本銀行、米国はFRB米連邦準備制度理事会、欧州はECB欧州中央銀行)が決定します。

この金利は国債にもマーケットがあって売ったり買ったりされているのですが、その債券(日本国債)の価格によっても決まります。

債券がマーケットで買われば金利は下がり、債券がマーケットで売られれば金利は上がるメカニズムです。

日本国債とは日本政府が発行している債券ですが、日銀が利回りを指定していて指し値オペと言います。

これは、日本国債の10年物(10年日本政府にお金を貸す債券で、当然期間が長い方が金利は高い)この金利が0.25%になったら、日銀がマーケットで日本10年国債を無制限に買い入れて0.25%以上の金利にならない様にオペレーションするということです。

日本の政策金利はゼロを維持、市場で取引される10年国債の利回りは0.25%以下を維持。対するFRBは今年利上げをして政策金利を上げ、市場での米国10年国債はマーケットで売られ、金利は高い水準まで上昇しています。

これによって円が売られ、ドルが買われる状況の要因となっています。

ですが、日本の経済構造上、資源価格と為替変動に左右されるのは仕方ありません。それを中央銀行による調整で期待するのは少し難しい話で、なぜなら金利を上げても原油や小麦は湧きません。

もう一つの要因として前述したように資源の高騰があります。

原油などの主なエネルギーというのは世界中で需要がある事から、一定のレートを共有するために概ね現在の基軸通貨であるドルでの価格決定がなされています。

決済もドルで行われることが殆どです。

従って、原油価格などが上昇すれば、原油の買い手は手持ちのドルでは支払うドルが足りなくなるため、ドル買いが市場で起きます。

当然、日本の商社などの日本企業も円売りドル買いが必要になるので、急激なエネルギー価格の上昇はやはり円売りドル買いを誘発します。

こうしたことから現在の止まらないドル高円安になっているのです。


次回は為替についてのお話をしたいと思います。


続く

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